コラム

COLUMN

2022.04.15

ナチュラルケア

出産から11年。夫が初めて知ったお産の時に私の口からぽろっと出た言葉

先日、ご縁があって犬山で開催された
「幸せな命のバトンのお話し会」に
参加してきました。

愛知県岡崎市に、自然なお産を
サポートしてくれる吉村医院という
産院があります。
(2022年3月から吉村医院あさひ
産婦人科として産まれ変わりました。
現在は田中寧子先生が院長です。)
https://yoshimuraasahi.com/

今回、旧吉村医院の院長だった
故吉村正先生と共に、立ち上げの時から
関わった助産師、岡野眞規代さんの
お話を聴くことができました。

我が家の小学生の娘二人は旧吉村医院で
産まれました。

そして現在小6の長女は、ちょうど学校
で赤ちゃんがどのように育つのかを学び、
興味を持っていたところ。
いわゆる「性教育」と呼ばれるものを
どのように伝えたらいいのかなと私自身
も考えていたところでした。

本や教科書、学校で学ぶだけの知識では
なく、「命が産まれる」ってこんなに
愛おしくて、大変で、素敵なことなんだよ。

ということを丸ごと娘に伝えたいなと
思っていたところに、今回のお話。
なんと会場が家から徒歩3分。

「これはもうご縁でしょ」ということで
家族で行ってきました。

正直、今まで吉村医院でのお産の体験を
人に話したことは
ほとんどありませんでした。

私と価値観が違う人がいることも承知です。
また、望まないお産の体験をした人も
いると思います。

また、不妊治療で苦しまれている方も
いると思います。

だからあえて、人に言う事ではないの
かなと思ってずっと家族だけの大切な
歴史として受け止めていました。

それでも、今回このように伝えて
みようと思ったのは、初めての出産から、
もうすぐ12年。

今改めてその時の吉村先生の覚悟と
孤独を知り、それでも
「自然なお産が世界を幸せにする」と信じ、
自分の命をかけて実践した吉村先生の生き方
また吉村医院を受け継いだ田中先生
助産師さん達の想いと願いを知ったから。

お話の中で、30分程度の吉村医院での
お産を撮ったドキュメンタリー映画が
あったのですが、私も夫も
里帰りした気分になり涙腺崩壊。

陣痛が来てもなかなか生まれてこなくて、
必死に医院の周りを歩いたこと。

長女の時は新月と重なり、お産が多くて
夜中にやってきた妊婦さんが次々と
出産していってとっても不安だったこと。

助産師さんにマッサージを託された
夫がずーっと一晩中マッサージして
くれたこと。

陣痛がきて思いっきり夫にしがみついたこと。
あの時の夫の身体が頼もしかった事。

結局翌朝になっても生まれてこなくて、
助産師さんに「今日生まれてきますか?」
と半べそかいたら「当たり前でしょ!
生まれてくるにきまってるじゃない!」と
心強い励ましをもらった事。

次女の時には、その夜2組しかお産が
なかったので助産師さんもずーっとつきっきり。

お姉ちゃんも一緒に家族みんなが見守る中
温かい空間で最高に贅沢なお産が
できたことなどなど。

そして今回、吉村先生がどれだけの覚悟
を持って、それぞれの家族のお産を
サポートしてくださったのかということ
をあらためて知りました。

岡野さんのお話で印象的だったのが、
「吉村先生はすごく孤独だった」と
いう言葉。

当時、吉村医院といえば映画にもなり、
妊婦さんが薪割をしたりと、自然なお産
へのこだわりが良くも悪くも話題になりました。

吉村先生、吉村医院へのバッシングも
相当あったようです。
実際、私が出産した時でさえ、同じ妊婦
の友人からは
「あそこはヤバいよね。」とか
義母も、我が家が吉村医院で出産する
ことを知らない知人から
「うちは、レストランのような食事が
出てくる最先端の医院で出産するの。
吉村医院みたいな野蛮なところは
考えられない」と言われたそうです。

実際薪割のイメージだけが先行していま
したが、吉村先生がおっしゃっていたのは、
「ごろごろ パクパク びくびくするな」
ということ。

薪割を絶対しなければならないという
ことではなく、昔の日本の女性のよう
に毎日の生活の中でよく身体を
動かし、身体に良いものを食べ、
ストレスのない生活をしていると安産
になるという信念でした。

そのような生活をしていると大抵の
お産は無事に生まれてくるということ。

今回お話をしてくださった助産師の
岡野さんは一般病院での産婦人科での
勤務経験も長く、医療優先のお産の
現場も見てきた方です。

その両方を知っている上で、吉村医院
でのお産は理にかなっていると実感したそうです。

それでも、命というのは神の領域です。
時に亡くなる命もあります。
もちろん、母子の命は最大限に大事です。
だからこそ先生も苦しんでいたことを
知りました。

ぎりぎりまで、赤ちゃんの生まれる力と、
母の産む力を信じて待つけれど、万が一の
時には母子の命を優先させて
近隣の病院に搬送されます。

どんな産まれ方であっても産まれた命は
どれも愛おしいし、母はそれだけ頑張った
ということは変わりません。

そんなことは100も承知の上で、
それでも
「赤ちゃんの自分で生まれてくる力
を信じること。お母さんの自分で
産む力を信じること」

その出産の在り方がその後の子育てや
家族のあり方にまで大きな影響を与え
ることを信じ、その信念を生涯貫いた
吉村先生の生き方は、出産=医療行為が
当たり前となってしまっている
現代に賛否両論あっても、私たちに
大切なことを教えてくれているの
ではないかと思います。

「自分を信じる」
「ありのままの子供の可能性を信じる」
「神秘の力を信じる」

この価値観は、お産だけではなく
西洋医療や薬、ワクチンに偏りすぎの
現代の健康の在り方。

そして学校教育のあり方に対する
私たちの感性、バランスをも
問われている気もします。

そして、最後に、実はこれは夫にも
最近初めて明かしたことがあるんです。

初めてのお産の時、陣痛のさなか
思わず本当に無意識に口から出た言葉は
「お母さん!」だったんです。

あっ、もちろん私の実母は出産には
立ち会っていないのでその場には
いませんでした。

これ、つい先日までなんか恥ずか
しくて夫にも誰にも言っていな
かったんですけどね。(笑)

その時に、ああこうやって私は母から
産まれてきたんだと思って、
今度は私が命を繋ぐんだとその時
思ったことは、今でもはっきりと
覚えています。

そして、私たちはみんな「お母さん」から
産まれてきたんですよね。

プーチンさんもゼレンスキーさんも。

次回は命と魂について私の
思っていること書いてみたいと
思っています。

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